【InDesign日本語版20周年】開発の秘話、愛される理由

Adobeの組版ソフトである「InDesign(インデザイン)」が2021年2月で20周年を迎えます。
それを記念して、2月6日にオンラインイベントが開催されました。
開発秘話や、これまでの歩み、便利な機能などなど、7時間に渡り盛りだくさんな内容で配信されました。
多くの人に支えられ、愛され続けているInDesign
オンラインイベントを視聴して、これからも一人のユーザーとして愛用していきたいと強く思いました。

DTPの三種の神器のひとつ「InDesign」

InDesignとは、Adobe社が開発した組版ソフト。
以前の記事でも紹介しましたが、DTP用のページレイアウトソフトです。
ページ数の多いパンフレットやカタログなどの冊子を作るのが得意なソフト。
Illustrator(イラストレーター)やPhotoshop(フォトショップ)と合わせて、「DTPの三種の神器」とよばれています。

今回のオンラインイベントでは、InDesignに関わる様々な方々のセッションが配信されました。
その中で、特に印象にのこったエピソードを書きたいと思います。

「InDesign」誕生の秘話

InDesignはそもそも英語向けに開発されたソフト。
そのため「漢字・ひらがな・カタカナ・英数字」を併用する日本語版を作ることは前代未聞のことだったそうです。
すでに組版ソフトとよばれるものはありましたが、そういった日本語の複雑性もあり、既存の組版ソフトは様々な問題を抱えていました。
そこで、当時AdobeでInDesignに関わっていたプリシラ・ノーブルさんは、日本語版の必要性を感じ、何度も上司にかけあってようやくオッケーをもらったそうです。
プリシラさんのあきらめない思いがあったから、InDesignの日本語版が生まれたと思うと、聞いていて胸が熱くなりました。

「InDesign」で小説を書いている京極夏彦さん

小説家の京極夏彦さんは、なんとInDesignで小説を書かれているのだそうです。
グラフィックデザイナーでもある京極さんならではなのかもしれませんが、
ワークフローを簡略化するためなんだとか。

直接InDesignに入力すると、そのまま初校になるんです。
それを校閲の方がチェックする。
戻ってきた赤字や疑問点を参照し、データに手を入れ、同時に著者校までしてしまえば、そのデータが再校になるんです。
これでかなりの工程を省略できる。
ワークフローの簡略化により業務のリストラができるわけです。

編集者も、入稿の際の作業や、赤字を転記したりする雑事がなくなる。
そうすれば編集者本来の仕事ができますね。
作品をきちんと吟味し、売り方見せ方を考えられます。
そういうシステムを使うことで、職分をきちんとわきまえて、より良い製品をエンドユーザーに提供できるかもしれないわけでしょう。

引用:2018年6月2日に東京・下北沢の書店「本屋B&B」で開催されたイベント「[京極夏彦×装丁夜話]京極夏彦の版面」にて

まさに、働き方改革ですね。

「InDesign」は、可愛さ余って憎さ百倍

セッションを視聴していて感じたのは、InDesignのユーザー(Adobe製品のユーザー全般?)は、
製品への愛情が強い人が多いように思います。
製品愛が強いがゆえに、バグなどの問題がおきると批判する人もたくさんいます。

テスターであるユーザーとAdobe開発チームの橋渡しをする業務を行うコントヨコさんは、
ユーザーのことを以下のように表現されていました。

 InDesignを愛するがゆえに、時に激しく憎むことがある

長所もあるけれど短所もある。人と同じですね。
セッションでも、みなさんがInDesignのことを、我が子や相棒のように語っているのが印象的でした。
InDesignが愛される理由がわかったような気がします。

まだまだ興味深いエピソードがたくさんありました。
アーカイブが公開されていますので、ぜひご覧ください。

まとめ
2021年2月で20周年を迎えたAdobeの組版ソフトであるInDesign
日本語版の開発に至るまでの苦労のエピソードには感極まるものがありました。
多くの人に支えられ愛されながら、これからも進化し続けていってほしいです。

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