【産地によって違う?】シナモンとカシアの特徴とその魅力

独特の香りと風味をもつシナモン。
料理やお菓子、飲み物などに使用されています。
日本では「シナモン」とひと括りに呼ばれていますが、産地によって種類が異なります。
スリランカ産は「シナモン(セイロンシナモン)」、中国産は「カシア」といい、日本でパウダー状で売られているほとんどはカシアです。
今回は、そんなシナモンとカシアの違いや、料理への活用法などをご紹介します。

シナモンの起源

シナモンは、古代エジプト人がおよそ紀元前1600年以降、アジア原産のシナモンをアフリカ商人から入手し、お香およびミイラの防腐剤として使っていました。
ただ、それがスリランカ産のシナモンだったのか、中国産のカシアだったのかは不明。
あのクレオパトラも使用していたのでしょうか。

スリランカ原産シナモンの起源

1500年代初頭に、ポルトガル人がスリランカに自生するシナモンの木を発見し、ただちにその島を占領しました。
その後、ポルトガル人を追放したオランダ人はこの地域の支配権と実入りのよい交易をめぐり、何世紀もイギリスと戦闘を繰り広げました。

このことからわかるように、シナモンはスリランカ原産で、現在は主にミャンマー、ベトナム、インドネシア、東アフリカ沖のセーシェル諸島で栽培されています。

中国原産カシアの起源

カシアは紀元前2700年頃から古代中国で漢方薬として使われ、交易ルートをたどって地中海に到達した最初のスパイスの1つになりました。
紀元前5世紀までに、カシアはシナモンとは似て非なるものであることが判明しました。
シナモンより繊細さの欠けるカシアの地位は下がり、15世紀に出版されたマナーの本「Boke of Nurture」では、著者のジョン・ラッセルが「シナモンは貴族用、カシアは庶民用」と記しました。
シナモンとカシアにはこんなに格差があったのですね。

カシアの原産地は中国南部の熱帯雨林。
アジアの南部と東部で広く栽培されているが、主な産地は中国南部、ベトナム、インドネシア。

カシアに含まれる「クマリン」

カシアに含まれる「クマリン」は甘さを感じさせるが、大量摂取すると一時的な肝臓障害を引き起こすことがあります。
そのため、シナモン風味の食品をよく食べる人は、カシアではなく、シナモン(セイロンシナモン)を使用するといいでしょう。
1週間あたりのカシア摂取の上限推奨量は、子供は3.5gまで、大人は7gまでとされています。

シナモン以外に、桜餅を包む桜の葉にもクマリンは含まれます。

シナモンとカシアの見分け方

日本で販売されているシナモンパウダーの大部分は、カシア産です。
一方で、スティック状で販売されているものは、シナモン(セイロンシナモン)です。
いずれにしても、パッケージの裏側に表記されている「原産国」を見て確認するのがよいでしょう。

シナモンの特徴

シナモン自体に甘さはないが、他の素材の甘さをより強く感じさせる。そのため料理や菓子・デザートに甘い香りをつけるのに最適です。
相性のよい食べ物は、フルーツ、甘い焼き菓子やパン、トマトやナス、赤身肉、鳩肉などがあげられます。

カシアの特徴

甘さや温かみがあるが、苦味もあり、シナモンのフローラルな柑橘系の香りに欠ける。
シナモンより深く、ピリッとして、繊細さに欠ける風味はしっかりとした風味の料理に向くが、焼き菓子に使うこともできる。
相性のよい食べ物は、牛肉と豚肉、豆と穀類、菓子・パン、保存食などがあげられます。

料理の活用

スティック状のシナモンは、カプチーノやホットワインなどに使用できますが、料理に使用するとなると、パウダー状のほうが使い勝手がよいのではないでしょうか。
そのため、料理用としては、主にカシアを使用することになるかと思われます。

印度カリー子さんの至福のソルティシナモンアイス

印度カリー子さんが、Twitterで紹介していた「至福のソルティシナモンアイス」。
市販のバニラアイスに、シナモンと塩を加えてまぜるだけの超簡単レシピです。
いつものバニラアイスが異国風のデザートに変身します。

ホームパーティーにおすすめのシナモン活用レシピ

ホームパーティーやクリスマスなど、人が集まる場面での料理におすすめなのが、ジャガイモとひき肉を使った「アッシ・パルマンティエ」。
イギリスではシェパードパイと呼ばれています。
シナモンを加えて、香り高く仕上げます。

 関連記事↓(シナモン入りのアッシ・パルマンティエをご紹介しています)

【クリスマスに食べたい】アッシパルマンティエ

シナモンはモロッコ料理にも欠かせません。
野菜たっぷりのタジン鍋に、シナモンなど数種類のスパイスを加えて、奥深い味に仕上げます。

関連記事↓(モロッコ料理に欠かせないシナモン。シナモン入のモロッコ料理をご紹介しています)

【スパイシー&マイルド】モロッコのタジン鍋

参考文献:スパイスの科学大図鑑: 香りの効果的な引き出し方や相性を徹底解明

まとめ

シナモンとカシアの違い、いかがでしたか?
日本では、シナモンとひと括りにして扱われているため、2種類あることはあまり知られていません。
繊細で香り高いシナモン(セイロン)は、ちょっとハレの感覚で特別な日の料理に使用してみるのもいいかもしれませんね。
一方で、カシアは日常使いとして、普段の食事に取り入れて。
ただ、カシアには肝臓機能を低下させるクマリンが含まれるので、摂取量には注意が必要です。
それぞれの味や特徴を生かして、生活に取り入れてみたいものです。

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