【泡を呑む】あてなよる②〜お酒とあてのマリアージュ

毎回、テーマに合わせて料理研究家の大原千鶴さんが「あて(酒の肴)」を作り、その「あて」に合うお酒をソムリエの若林英司さんが用意し、ゲストをもてなす番組「あてなよる」。
この日のテーマは、「泡で呑む」。
大原さんの奇想天外でアイデアあふれる料理に、ソムリエ若林さんがあの手この手で合わせるお酒が遊び心があって、圧巻です。
ゲストは、お笑い芸人であり俳優の塚地武雅さんと、女優の板谷由夏さん。
お二人の息のあったトークも見どころです。
学生時代はお二人とも剣道部だったという意外な共通点が判明し、大いに盛り上がっていました。

テーマは「泡を呑む」

魅力的なテーマです。
「泡」と聞いただけで、なんだかワクワクしませんか?
泡といえば、なんといってもシャンパン。
まずはシャンパンが出てくるのかと思いきや、なんと最後に。
〆にシャンパンをもってくるところが、ソムリエの腕の見せどころであり、遊び心なのかもしれません。

一品目:「白子のすりごまフリット」
お酒:イタリア ヴェネト産「プロセッコ ディ コネリアーノ」+イタリアミラノ産 薬草のリキュール

苦味+苦味で旨味を引き出す

お料理は、「白子のすりごまフリット」。
タラの白子は、塩をふり、水で洗ってぬめりをとった後に、熱湯でサッと茹でて臭みをとります。
フリット生地(小麦粉、ベーキングパウダー、水、黒ごま)に下処理した白子をくぐらせ、170度のサラダ油でカリッと揚げて塩コショウをふります。
サクっとした衣、トロフワな白子がとっても美味しそうでした。

出されたグラスには、なんと氷が。
注がれたのはヴェネト産スプマンテ(イタリアではスパークリングワインのことをスプマンテと呼びます)。
氷を入れることで、フレッシュなマスカットの味わいがしまるのだそうです。

氷を入れたスプマンテとの相性もバッチリのようでしたが、さらに赤い薬草のリキュールを加えます。
ミラノ産のリキュールで、ビターオレンジ、キャラウェイ、コリアンダー、カルダモンが入っているということは、おそらくカンパリでしょうか。
真っ赤なリキュールが注がれて、たちまち華やかな飲み物に変身しました。
このビターなリキュールが、ゴマの苦味によく合うのだそうです。
苦味+苦味でさらに旨味を引き出したソムリエのスゴ技ですね。

二品目:「牛すじとたくあんの煮物」
お酒:フランス ブルゴーニュ産ピノ・ノワールのスパークリング

赤いスパークリングが、牛すじとたくあんを贅沢に格上げ

続いてのお料理は、「牛すじとたくあんの煮物」。
よく漬かってすっぱくなったたくあんを水につけて一晩おき、下茹でした牛すじとともに柔らかく煮た「ぜいたく煮」です。
京都では、よく漬かったたくあんを煮たものを「ぜいたく煮」といいます。
材料は身近ですが、作るのに手間がかかるのでそう呼ばれるのだそうです。

合わせるワインは、ブルゴーニュ産ピノ・ノワールのスパークリング。
赤いスパークリングといえば、イタリアのランブルスコが知られていますが、ブルゴーニュ産ピノ・ノワールのスパークリングはとても珍しく貴重です。
ピノ・ノワールという品種は、根菜の香りや渋みが感じられるため、たくあん(大根)を使用した「ぜいたく煮」に合わせたのです。

三品目:「ブリしゃぶ」
お酒:岩手県産 純米大吟醸 微発泡

米の甘味と泡の旨味が、ブリをさらに美味しく

三品目のお料理は、「ブリしゃぶ」。
昆布ダシの中に玉ねぎを入れ、柔らかく煮えたらレタスとブリを順にぐぐらせ、自家製のポン酢につけていただきます。

合わせるお酒は、岩手県産の日本酒で、瓶内二次発酵された純米吟醸の発泡酒です。
瓶内二次発酵とは、シャンパンと同じ製法でシャンパーニュ製法とも呼ばれています。
きめ細やかな泡が特徴です。

ブリの油や甘味、酸味を、発泡酒の泡が軽くしてくれます。
米の甘味と泡の旨味が、ブリの甘味をさらに引き出します。

〆:「メレンゲがのったチャーハン」
お酒:フランス シャンパーニュ地方産のスパークリング

卵の力強さが、シャンパンをまろやかに

〆のお料理は、「メレンゲがのったチャーハン」。
一見、メレンゲのデザートのようです。
卵を黄身と白身に分け、黄身は醤油漬け、白身は泡立て器でメレンゲ状にします。
もう一つの卵は、よく混ぜマヨネーズを加えて、温かいご飯を入れて全体に絡めます。
フライパンにバターを入れ中火にかけ、薬味や調味料を加えて炒め皿に盛り、その上に醤油に漬けた黄身、調味料をのせます。
そして、その上に泡立てたメレンゲをのせ、焦げ目がつくまで焼き上げて完成。

合わせるワインは、フランスシャンパーニュ地方産のスパークリングワイン。
ようやく真打ち登場です。
熟成したシャンパンには、イースト香があり、それが卵の黄身を合わさると、シャンパンのカドがとれるのです。
さらに樽で発酵されたワインには、きのこやナッツなどの風味があり、卵などの力強い食材が加わることで、甘味が増すのだとか。

番組名: あてなよる
レシピなどはこちらから:泡を呑む

まとめ

「泡を呑む」がテーマの今回の「あてなよる」。
想像もつかない料理のアイデアは毎回驚きの連続です。
そして、それに合わせるお酒がまた絶妙。
今回も、大原さんと若林さんのセンスと腕、それからお二人の息の合ったコラボレーションがすばらしかったです。

あてなよる 大原千鶴の簡単・絶品おつまみ帖

全国3,000軒を超える農家・漁師から新鮮食材をお取り寄せする

 関連記事↓(「漬けで呑む」の回をご紹介しています)

【あてなよる】「お酒」と「あて」のマリアージュ